スカウト

17/29
419人が本棚に入れています
本棚に追加
/289ページ
僕は鏡に顔を近づけ、いろいろな角度から顔を見、いろいろな表情をしてみる。 「まさか本当にわからなかったの?」 綾香さんは驚いたように聞いてきた。 「はい、全くわかりませんでしたよ」 綾香さんは心底驚いた様子だ。 「じゃああれはギャグじゃなかったんだ。 まぁいいわ。髪も見た?いろいろいじっちゃったけど」 そう言われて初めて髪を見た。 髪の色が茶色になってる。 しかも伸びに伸びた髪は切られ、ワックスで固められていた。 「おっ、これ凄すぎ」 髪をまるで赤子を触るように、優しく触っていると、綾香さんは当然という風に腰に手を当て、胸を反らす。 「どうだ遥輝くん、気に入ってくれたかい?」 ワッハッハッと悪役のような笑いをしている綾香さんって……。 「綾香さん、すごいよ。ありがとう」 あまりのうれしさに笑顔で言った。
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!