スカウト

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「そ、そんなぁ……」 そう言いながら綾香さんは床にへなへなと座り込み、顔に手を覆いながら泣いてしまった。 社長は気が済んだのか椅子に戻ろうと歩きだす。 男ニ人は一人はかわいそうにと呟きながら綾香さんを見ている。 またもう一人は無表情で鼻で笑った。 おそらく僕のせいだ。 それならば僕のすることは決まっている。 せっかくバイト先見つかろうとしてるのにまた探し直しか。 まぁそれは後でどうにでもなる 今はこの事が先だ。 「待ってください」 「ん?」 そう言いながら社長は僕に振り向いた。 呼び止めたからもう後戻りはできない。 「綾香さんは何も悪くありません。綾香さんを遅くしてしまったのは僕のせいなんです。 僕が綾香さんと長話しなければ、僕がメイクしてもらってる時に寝なければ……。 全て僕が悪いんです。 それに綾香さん言ってました。今はお母さんがいて、とても幸せだと………………だから早くお母さんに会いたい一心でノックも忘れて部屋に飛び込んでしまったんだと思います。 もし綾香さんをクビにするんなら僕はここを去ります。 元々僕のせいで遅くなったので僕がいなかったら、今回のことはありませんでした。 なので綾香さんをクビにしないでください。」 最後の方は叫ぶように言ってしまった。
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