ある日のこと

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「パンダってさぁ・・・ずるいよなぁ・・・」 「んだよ唐突に」 ここは喫茶店。急な雨から逃げるための雨宿りをしていたときに奴は言った。 「だからパンダってずるいなって言ったんだよ」 「それは聞こえてたよ。オレはその理由を知りたいの」 そろそろ外の景色を見るのにも飽きていたところだ。こいつの話を聞くのも時間つぶしとしては悪くない。 「だって体の色が白黒だぜ?んで姿が熊ならそりゃ可愛いよ。誰だってぬいぐるみみたいだ~って思うよ」 「確かににそうだろうけどさぁ、シマウマみたいに体の色に何か理由があるのかもしれないだろ。オレは知らないけど」 「オレも知らないよ。でも考えてみろよ、もしパンダの体の色が黒とか白一色だったら普通のクマかシロクマにしか見えないだろ?でも黒と白のクマになるとあら不思議、 みんなに大人気のパンダになっちゃうわけよ」 「まぁそういう考え方をすればな」 「しかもあいつらパンダを中国から借りるだけで何千万って金が発生するんだぜ!?」 「それは人間同士のことでパンダ自身は全く関係ない!」 「うっ・・・まぁそうだけどさぁ・・・。なんか納得いかないんだよなぁ・・・」「だからそれはさっきも言ったように考え方の問題だって、それはどうしようもないから気にするな。おっ雨があがったみたいだぜ。そろそろ出るか」 そういってオレは立ち上がった。 代金を払って店から出るとオレは肝心なことを聞いてないのを思い出した。 「そういえば今日はどこへ行くんだ?」 そう奴に聞くと奴はああという表情になり 「動物園だよ。オレは流行りものには目がないからさ。パンダ見にいこうぜ」 とニヤッと笑いながら言った。 「お前・・・さっきまでパンダはずるいだとかなんとか言ってたやつが何言ってんだよ・・・」 あぁ頭が痛くなってきた。 「うるせぇな別にいいだろ。それはこれ、これはこれなんだよ」 「お前の心の中って本当に訳わかんねぇわ。裏表があるっていうか、明暗があるっていうか・・・」 「白黒か?」 ニヤリと笑いながら奴がオレの言葉をとる。 「そうだな白黒が一番合ってるよ。パンダみたいにずるい奴だ」 「お褒めの言葉をどうもありがとう。じゃあ行こうぜ」 そう言ってオレは歩き出す。パンダ男とパンダを見に。
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