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福「皆さん、全員に プレイマット、卓袱台、座布団は支給されてますか? 不備があれば申し出て下さい」
五十人程度の生徒が所狭しと座っている教室には机がない。あるのは畳と卓袱台と座布団。なんて斬新な設備だろう。一年生の時に噂は聞いていたけど、実際に目にすると、酷すぎる。
「せんせー、俺の座布団に綿がほとんど入ってないですー」
福「あー、はい。我慢してください」
「先生、俺の卓袱台の足が折れてます」
福「木工ボンドが支給されていますので、後で自分で直してください」
?「先生、俺のプレイマットに、好きなキャラクターが描かれてません」
福「はい、自重してください」
「センセ、窓が割れていて風が寒いんですけど…」
福「分かりました。ビニール袋とセロハンテープの支給を申請しておきましょう」
教室の隅には雲の巣が張られており、壁はひび割れやラクガキで埋め尽くされていた。酷すぎる。こんな場所じゃ、授業に集中できないじゃないか!!
福「必要なものがあれば、極力個々で用意してください」
どこからという訳でもなく、教室全体から腐臭が漂う。きっと床に敷き詰められた古い畳のせいだろう。
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