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?「有明、遅刻だぞ」
玄関の前でドスのきいた声に呼び止められる。声がした方を見ると、そこには浅黒い肌をした短髪の、いかにもスポーツマン然とした男が立っていた。
大「あ、鬼じ--------東条先生。おはようございます。」
軽く頭を下げて挨拶する。なにせ相手は生活指導の鬼だ。目をつけられないようにしないと。
東「今、鬼人って言わなかったか?」
大「ははっ。気のせいですよ」
東「ん、そうか?」
ふぅ、ヤバかった。危うく『鬼人』って呼ぶところだった。
ちなみに、鬼人というのは生徒の間で呼ばれている、東条先生の渾名だ。生徒に鬼のように厳しいことからきている。
東「それにしても、『おはようございます』じゃないだろうが」
大「あ、すいません。おい、決闘しろよ。」
東「……お前は遅刻の謝罪より、決闘がしたいのか?」
大「そっちでしたか。すいません」
東「まったくお前というヤツは……いくら罰を与えても全然懲りないな」
溜息混じりに先生がつぶやく。こう言われると、なんだか僕が遅刻の常習犯みたいだ。
大「先生。僕、遅刻はあまりしてないですよ?」
東条先生は去年僕のクラスの担任だったから、僕があまり遅刻してなかったことは、知っているはずだ。
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