王子様とオルタンシア

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オルタンシア。 王と妾の子。 それは偽り。 事実は城に仕える若き騎士。 妾が用意した偽りの王子。 されども、王子の身体は呪われた。 王子である証と。 姫である蕾を併せ持つ身体。 性の問えない不可思議な身体。 妾は王子を憎んだ。 王になれない役たたずと。 憎んだ末に薔薇の瞳を刳り貫いた。 忘れた瞳ではない。 奪われた瞳。 卑しく生かされた。 性の問えない身体が故に。 もしもの時の生け贄に。 秘められた性を暴かれて。 慰める艶華とされて。 生きることを否定したくなる。 悲劇の華。
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