王子様とお姫様

3/6
前へ
/13ページ
次へ
妾の王子様。 幾人目かの王子様。 ある日見つけた泉にお出掛けさ。 呪われた王子様。 片目を亡くした王子様。 「ごきげんよう」 「……」 甲高い声に返事はない。 呪われた王子様。 「花を落としたそうよ」 「また独り言をなさった」 赤い瞳を悪意の水に浸けても、溺死しない。 呪われた王子様。 死を望まれるだけ。 「所詮は妾腹」 「呪われて当然」 「一人泉へ」 「奇行は続くばかり」 「卑しき子」 「――も消えたように」 「散ればいいものを」 「ねぇ」 振り返る先で王子様は笑う。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加