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いつものように昼休み、保健医のいない保健室に忍び込んで惰眠を貪る。
「おい、美術部員!もう昼休み終わるぞ」
呆れ半分叱咤半分の先生の声は、昼休み終了10分前の合図だ。
いつも10分前までは寝かしてくれるところが先生の優しいところ。
だが、授業に出る気などさらさらない俺は半分夢の中から「うぅぅ~…具合悪ぃ……」と唸って顔を枕に押し付けた。
「まったく……次の授業はなんだ?電話しといてやるから」
(ほらねぇ~)
具合が悪いと言えば、先生はこのまま寝かしてくれる。それが嘘だって見抜いていても。
俺は内心へらへらしながら「英語……」と答えて、また夢の中へ落ちようと半開きの眼を閉じた。
「おい、美術部員!この授業はサボんな!早く行け」
「え~…なんでだよぉ~…?」
「なんでもいいから行ってこい」
「え゛ぇ゛~……」
「いいから!!この授業行かないと金輪際ここでは寝かさないぞ」
「…………いってきます」
しぶしぶ俺は大して寝心地のよくないベッドから這い出し、てれてれした足取りで教室に向かった。
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