-ハジマリ-

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それだけ言うと、彼は店の奥へと引っ込んでいった。 状況が呑み込めないアタシは暫くポカンとしていた。 数分後、彼はグラスに入った水を持ってきてくれた。 お礼を言って、一口飲む。 水、美味しい。 火照った体がゆっくりと冷めていく。 「...そのまま帰るの危ないから、絶対ここにいろよ。」 『...あの』 「絶対。」 普通なら、店員からこんな事言われたら、 怒ったり、迷惑かけたくないからとそそくさ帰るのに... 『...うん』 けれど、その日は何故か、 彼の瞳に金縛り効果があるかのように、 その場から、動けなかった。 やがて独りになったアタシは、 まだ火照っている身体を冷ますため、 水をチビチビと飲んだ。
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