-ハジマリ-

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―――――― 「...具合、良くなった?」 30分くらいたって、彼の声が横から聞こえた。 ふと、見上げる。 『...大丈夫。』 「顔の赤み、大分引いたね。..立てる?」 『...うん』 転ばないように、彼が手を差し伸べてくれる。 有り難く、手をとって立ち上がった。 先程よりは、 楽になっていた。 二人で、店から出た。 ―――――― 「結構冷えるね。」 この時も、冬に近い頃だった。 そう、アタシの誕生日は11月だ。 まだ完全には酔いが冷めてなくて、 転ばないように気を付けながらゆっくり歩く。 そんなアタシを気遣ってか、歩調を合わせてくれる。 『..ごめんなさい、遅くて。』 「...平気。家、何処?」 ここから10分くらい。 と、短く答えた。
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