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彼がドアを開くと、私は一直線に窓に向かう。
(やっぱりいつ見ても綺麗だ…)
大きな窓には三大夜景にも選ばれた絶景があった。
前住んでいた坂の上のボロアパートでもタダで見ることができていたけど、河口近くのこの場所だとライトアップされた橋が大きく見える。
この夜景を私はいろんな角度から見てきた。
ボロアパートにオーソドックスな山の展望台、それから橋の麓の公園。
あの公園で夜景を眺めながら『ついてきてほしい。』って言われた。
『はい。』と笑顔で答える私。
胸が締め付けられるように痛む。
馬鹿みたいに二人でいることが幸せで永遠に続くことを信じていたあの瞬間。
いくら戻りたいと願っても戻れない。
全ては脆く消え去ってしまったのだから。
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