好きになる日

24/25
前へ
/200ページ
次へ
「嬉し泣き…って感じでも無いみたいですね。」 すぐに彼に見破られる。 「…あ…いや…ごめんなさい。」 急いで涙を拭う。 「いいですよ。」 彼が困ったように笑って、ハンカチを渡してくれた。 「…すみません…すみません…」 早く泣きやまないといけないのに涙が止まらない。 「ティッシュが必要そうですね。取ってきます。」 彼が立って、私に背を向ける。 彼はそんな私を責めもせず、ため息もつかない。 でも、その後ろ姿が切なくなる。 私はキラキラした指輪をした指で彼の袖を掴んだ。 「…き、嫌わないで…」 とっさに出た言葉。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

191人が本棚に入れています
本棚に追加