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「由香ー帰ろっ」
白いふわふわのマフラーを巻いて、紗羅が私の席まで来る。
短いスカート、マスコットのたくさんついた鞄、くるくるに巻いた髪。
まさにモテそうな女の子。
「うん、あ、帰りジュース買いたーい」
「下の自販機やってるかな?」
教室を出て隣のクラスの前を通ってさらに先へ進んでいく。
と、廊下に見慣れた姿を見つけた。
「大樹、」
「お、由香もう帰んの?」
「うん。あ、このカイロあげるよ」
ポケットから取り出したカイロを大樹の手に乗せて、彼をちらりと見る。
「じゃ、部活頑張ってね」
にこ、と笑うと大樹がさらに顔を赤くして私を見た。
それに気づかないフリをして、紗羅と一緒にまた歩き出す。
「相変わらずラブラブだね~っ」
「そんなことないってー」
「でもあれだね、由香のが1枚上手かなって感じはするよね」
「何それ(笑)」
けたけたと隣で笑う紗羅に合わせて笑う。
ああもう、うっとうしい女。
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