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「ここは何処なの!?」
私は目覚めたとき、知らない場所にいた。
「そもそも、さっきまで私は何処に…私は誰…?」
記憶が無った。
自分がさっきまで何処にいたかも、自分のことも、名前さえわからない。
気が付いたとき、仰向けで倒れていたのだ。
「…!!」
まわりを見渡した。
見えるのは紅い空、どこまでも続く褐色の岩山、石が転がり、ゴツゴツした渇いた地面。
漂うのは、濃厚な血の匂い。
聞こえるのは、遠くから響く男女、年齢ともにさまざまな悲鳴だった。
「お願いだ…許してくれ!!」
「熱い熱い熱い熱い熱い熱い…!!」
「いやぁあ″ああああああっ!!」
「やめでぇ!もぅやめでえええ!!」
「ひぃっ!?」
私は怖くなりその場から逃げようとした。
そのときだった。
「案内いたしますよ、お嬢様…。」
突如目の前に現れたのは、私と変わらない十代後半の少年だった。
だかその容貌は、空と同じく紅い髪、橙の瞳、黒のブレザー、そして、背負っていたのは死神を連想させる大鎌だ。
あきらかに普通の人間ではない。
「誰っ!?」
私は訪ねた、しかし彼は笑みを浮かべたまま言った。
「どうぞ、私についてきてください。」
私は、彼の後をついていった。
正直あやしいヤツについて行きたくはなかったが、ここでひとりポツンといるのもイヤだった。
見えるのは、相変わらず紅い空。
変わったのは岩山の色が、黒っぽくなったこと。
私は、前を歩く彼に聞いた。
「ねぇ、私を何処へ案内するの?」
振り向かず彼は答える。
「そのうち、わかります。」
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