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また彼に聞く。
「あなたは誰、私は自分が誰なのかわからないけど、あなたは知っているの?」
彼は答えなかった。
そのかわり、崖の下を指さした。
「ご覧なさい。」
いつのまにか、崖のギリギリまて来ていた。
「見ろってこと?」
私は嫌な予感がした。
「まさか、私を崖から突き落とすつもり!?」
彼は首を静かに振る。
「いいえ。」
「…!?」
私は警戒しつつも、崖の下を覗いた。
そこに少女がいた。
崖の下にいた少女…。
歳は私より少し上くらい、華奢な体格、長い黒髪。
血で染まった白いワンピース、うつむき浮かべるのは、悲しげな表情。
少女を、2人の男、ひとりの女が取り囲んでいる。
顔つき、年齢、髪型は異なるが、全員彼と同じく紅い髪、燈の瞳を持ち、黒いブレザーを着て大鎌を持っていた。
男のひとりが言った。
「汝の罪を示せ…。」
少女は静かに答えた。
「私の罪は、妹を殺したことです。」
男か再び問うた。
「では、何故殺めたか?」
少女は顔を上げた。
「私は、妹を愛していました。それはそれは、深く深く愛し、私にもっとも大切な存在であり、彼女の為ならなんでもしました。ゆえに殺したのです。」
「ゆえにだと?」
男が鎌を少女の首に、近づける。
「両親は、妹より私を愛していました。私ができることが妹は全くできなかった、それだけの理由でです。妹は、ごくつぶしとして冷たく育てられていました。それでも私は妹を愛し、彼女を庇いました。」
「それは、我らの問いの答えになっておらぬぞ!」
彼女こ言うことがズレはじめ、男達は苛立ちを見せた。
「ある日、妹は誤って父の大切にしていた花瓶を割りました。父は怒り、妹を何度も殴りました。クズ人間、出来損ない、役立たずと口汚く妹を罵りました。見ていた母は笑いながら、妹を蹴りました。そして、妹が壊れました!」
ついに少女は、妹を殺した経緯を、ある恐ろしい出来事を話し出した。
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