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二人の引力のバランスが
崩れた後
キミが
部屋に落としていった
林檎の心を
ボクは
かじってみた
イタミが
芯の部分まであったけど
それでもガムシャラに
食べた
キミと惹かれあう引力を
再発見したのに
涙が零れるだけで
少しも嬉しくないよ
だから男を演るのはイヤだ
気付くタイミングが
いつも遅すぎる
離れてみて
呼吸すら痛くなる
大切な思い出が過ぎる
キミは
ボクの十五年モノの
穴の開いた汚いトレパンも
捨ててよ
なんて毛嫌いせずに
ミシンでコッソリと
修繕してくれるような
女性だった
仕事の現場で履き古した
ボクの汚いスニーカーを
捨てる時も
靴も一緒によく働いたよね
と
云ってくれた言葉に
その時なんて云えばいいか
判らなくて
何も云えなかったけど
ただ
この人とこのまま
一緒にいたい
それだけをあの時
強く思った
やり直したい
キミに凄く会いたい
そんな言葉を
伝えようとする
受話器を握る手が
今情けなく震えてるけど
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