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「うん、笑わないよ。約束する」
自慢じゃないが、僕は笑わないことには自信がある。全盛期の小島よしおを見ても、全盛期のナベアツを見ても僕は笑わなかった。日頃の会話でも笑いこそするが、心の底から笑っていることはほとんどない。
「だから是非とも!お願い!」
「…………」
『ホームルーム終わったら屋上前の扉に』
「分かった」
その日の僕ほどいきいきしていた生き物はそういないだろう。僕の知っているところでは全盛期の小島よしおとナベアツぐらいだ。
ウキウキしすぎてそこから放課後までの記憶がなかった。というわけで場面は放課後に変わる。
僕はすぐさま屋上へ向かった。その速さたるや、特に例えるものが思いつかないほどだった。普通に速い程度の速さ。
そして屋上前の扉へ。予想外にも、すでに宮原さんはそこにいた。壁の前でボソボソと口を動かしている。
「……………………」
「あのー」
「ッ!?」
「あ、ごめん」
宮原さんが跳ね上がった。驚かせてしまったらしい。動揺する様がまた可愛かった。撫でてあげたいくらい。
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