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「…いってきまーす」
うっすらな雲がぽつぽつと浮かぶ空の下の住宅街……その住宅街にある住宅の内の一軒のドアを、高校2年生の暁 日明(あきら)は眠たそうな表情でゆっくりと開けた。
「あぁ~……やっぱり早々に切り上げるべきだった……」
日明がぶつぶつ呟き、あくびをしながら朝の静かな住宅街の道路を歩いていたその時、
ドカッ
「いっ……!」
日明は太ももに何かが当たった感触を感じた。
「ってぇな……誰だよ…」
日明がそう言って振り返ると、
「オッス日明!」
金髪でライオンのたてがみのような髪型の男子高校生が、元気いっぱいの笑顔で日明にそう挨拶した。
「……あのなぁ達也。俺、前から何回も言ってるだろ?挨拶する度に蹴り入れるんじゃねーよ、って」
日明は不機嫌な表情でそう言うと、日明に達也と呼ばれた男子高校生は、
「ひゃはは、悪りぃ悪りぃ!」
笑顔で日明の肩をバシバシ叩きながらそう謝った。
この、一見不良のような風貌の男子高校生の名は、神崎 達也。日明とは中学の頃からの親友である。
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