過ぎし出来事を悔やむ者

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 不良の体……、つまり胸元数センチ前に存在する槍の切っ先は、充分に相手の動きを牽制する役割を果たす。  少しでもこちらに来れば迷いなく突き刺す。  俺はその意思をこめた眼光を相手に向け、睨み付けた。 「て、テメェ、『ランサー』の分類だったのか……?」 「喋るな、動くな。 今すぐ魔術を解かなければ、例外なくこの槍は貴様の命を断ち切るぞ」 「あぁ? テメ――」 「死ぬか?」  槍を一層近付けて、次はないと宣告する。  俺の圧力に耐えきれなくなったのか、死に対する恐怖心からか、不良は振り上げた腕を素直に下ろした。 「どうする、俺の目の前から消えるか、死ぬか。 あぁ、別に立ち向かってくれてもいい」  俺は自分の頭上に西洋風の剣を数十本出現させると、口の端をゆっくりと歪めて―― 「選択しろ。 お前らが死刑をお望みなら俺はその願いに関して直々に手を下してやる」 ――その全ての数多の剣先を、不良三人に向けた。 「ヒィぃっ!!」 「コイツ、ヤバイぜ!?」  俺を殴った不良の後ろで傍観していた二人が焦ったように叫ぶ。 というか、『ヒィぃっ!!』とか言った不良何にもしてなくないか? 「うっせぇ! こんな餓鬼が、こんな餓鬼がぁぁぁあ!?」  くっ!? こんの!  まさかこの状況で歯向かうとは思わず、槍を持った腕を完全に伸ばしきってしまった。  ルーン文字が刻まれたその槍は、豆腐を包丁で切るようにすっと人間の体内へ侵入する。 「あ、あ……」 「馬鹿め、自ら死を選ぶとは……」  男はゆっくりと自分が刺された箇所を見、その事実を視認する。 そしてゆっくりと膝から崩れ落ち、土の地面に倒れ込んだ。  ちっ、予想外の出来事だが仕方がない。 このまま続けるか……。 「まず一人……」 「て、テメェ! ホントに……」 「コイツが自分で選んだ結果だ。 お前も辿るか? コイツの進んだ道を」  
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