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俺の声に明らかに身を固くする不良たち。 あともう一押しで良いだろう。
早く学校行かせてよ!
「警察呼ぶぞ!!」
「はっ!! 馬鹿か貴様?
ああそうかこんなことしてる時点で馬鹿だったな」
「な、なんだと……?」
強気だった声も弱々しいものに変わり、下手に出る態度になりかけている。
その後ろの奴にいたってはもうダメだ。 ガタガタ震えて、声も出そうとしていない。
「カツアゲなんぞしようとした奴が、それを取り締まる人間に助けてもらうだと?
ま、この状況なら捕まるのは間違いなく俺だが」
「ふ、へっ! やっと自分の立場がわかったか!
おい堅、さっさと警察呼べ!」
「お、おう」
俺が自分の非を認めただけで、水を得た魚のようにピチピチ跳ねやがって……。 今度あったら海に放ってやる、よかったなもっとたくさんの水が得られるぞ。
「そうだなぁ。今貴様らを殺せば、俺の犯行を見たやつはいなくなるわけ……だ」
俺は視線をやつらに向けて、見下すようにしてから槍をゆっくりと構えた。
すると携帯を取り出していた方は俺の視線を受けた途端に震えだし、通信器具を地面へ落とす。
ピチピチ跳ねてた奴は小さな呻きを漏らして俺から離れるように後ずさった。
「あ、あああああああっ!」
開いた距離を詰めるように、俺は一歩足を踏み出す。
その動きに体を一際大きく震わせたやつらは、携帯も拾わず、地面とキスをしている仲間も気にせず逃げやがった。
……追いかける必要はない、かな。 俺は奴らが逃げてもらうようにしてただけだし。
「……助かった」
俺はそう呟いてから一息つく。 瞬間手に持つ槍も、宙に浮く剣も消え去った。
いやぁ、予想以上の出来映えだ。 少し怪我はしたが、奴らが俺に報復に来ることはないだろう。
恐怖心を叩き込んで塗り込んで、染み渡らせたからな!
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