過ぎし出来事を悔やむ者

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「はがっ!?」  俺はふと気になった時間を確かめるべく、ポケットの携帯の画面を見たのだが、 「八時、二十六分……」  因みに都心第三学区高校の最終登校時刻は八時四十分。  しかも今日は入学式があり、それが始まるのは九時からだ。 「間にあえよーっ!!」  走れば間に合うかもしれない。 そんな甘い幻想を信じ、俺はまだ少し違和感の感じる左手を気にせず、一心に走り出す。  疑問系不良?  放置だ放置!  だがな、俺。  どうした俺?  言いにくいことだが、家から学校までは二十分かかるぞ。  ……認めぬ、認めぬぞぉぉぉっ!!  心の声は無視だ無視!  信じて、それ相応の努力をすれば願いは叶うんだぁぁぁぁぁぁぁ! ―――――― ―――― ―― 「ぎりっぎり! セーフ!」  慌てて駆け込んだ教室。時間はさっき確認したときは三十九分だったからセーフなはずだ! 「…………?」  はずなんだけど……、なんでこいつら俺を変な目で見てるんだ?  そうか。  ふ、俺のこの登場に驚いたか。 「ね、ねぇ君」 「ほい?」  困惑気味の俺に眼鏡をかけて来たのは、頭が良いですよオーラを出す生徒。  いきなりの、友達になりませんか、か! 良かろう受け止めてやる。 「ここのクラスは席全員埋まってるよ?」  なん……だと……?  いやクラス発表の紙には俺は確かに二組だったはず……!! 「三組……だと」  教室を飛び出して表札を確認。 そこには黒字で『三組』の文字が。  ……あれ? 「もしかしてここ、三組?」  その俺の発言で、教室内が少しざわつき始めた。 「なに、あいつ教室間違えたってこと?」 「うわ、恥ずかしぃー」 「つーかわざとやったんじゃね?」  ………………。  う、うわーーん!!  三組なんて、大っ嫌いだぁぁぁぁぁーー!    
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