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突如鳴り響くチャイムの音。
その時に俺は隣の教室、要するに二組の教室の扉を開けて中に入る。
は、恥かいた……、耳を澄まさなくても聞こえてくる三組からの笑い声。
……三組嫌い。
ぼけぇ、と教室を見渡せば、あぁ、知らない顔ばっかり。
そのなかで二人だけ知ってる顔を見つけたが、そいつらは何故か俺に目を合わせず口をパクパクして俺を指差している。
何言ってんだ、アイツ?
お、一個だけ空いてる席発見。 あそこが俺の席だな。
「さっさと席座れ!」
「だぁっ!?」
頭を何か平べったいもので叩かれた。
い、いひゃい……。
「つー、……誰ですか?」
後ろを振り替えって見ると、身長百八十センチはある巨漢が。 俺の身長は百七十センチあるかないかなので、ちょうど見上げる形だ。
つか誰。
こんなゴリラ・ゴリラ、知り合いで飼ってるやついました?
「あの、誰?」
「それを今から説明する。
さっさと席につけ!」
「……」
こりゃ担任くさいな。
俺としてはピチピチな女性の担任が良かったんだが……。
「世の中うまくはいかないぞ」
なぬ、どうやら願望が口をついて出ていたらしい。
悪口言わなくてよかった……。
俺は叩かれた頭を一度撫でると、自分の席に向かう。
場所は窓側から三列目の真ん中らへん。 縦六座席、横八座席の教室だから真ん中か。
うーむ、窓際一番後ろがよかった。
椅子をひいてそこに座り、窓際一番後ろの席を見る。
知らん顔だ……。
「よし、まずは挨拶からいこう。 おい、そこの……、猫崎!」
「『びょうざき』です」
小学中学と間違えられ続けてきたこの名字。
高校でも間違えられるんだろうな、とは思っていたが、やっぱり来たか。
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