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「お、なにしてんの優?」
不意に目の前の不良の後ろから声が聞こえ、一人、二人と仲間らしきやつらが集まってきた。
金髪、ピアス、煙草、と、不良の古い代名詞を見事に兼ね備えたような見た目。
……え、一対三ですか。
ここは沈黙の今の内に謝って場を凌ぐのが最善!
「あの、本当に……」
「お? 聞けよ竜?
こいつ俺にぶつかっておいて謝らないんだぜ?」
「ほー、なめてんじゃん」
被せるなぁぁぁぁああ!
苛めなのか? 苛めなのか? 人が喋るときにわざと声を被らせる、新種の苛めか!?
あぁ、なんか新しく加わったこの人もなんかヤル気満々だし。 いや、もうお家帰る!
「どこ行く気だ? あ?」
捕まった。
「いやだからもうすいま」
「シカトとかいい度胸じゃん? ちょっと相手してくれるかな?」
「いやお断りしま」
「あぁ!?」
た~す~け~て~。
そんな祈りも虚しく、俺は引き摺られて近くの空き地に投げ出されました。
靴がぁ、新品の、買ったばかりの靴がぁ……。
「な? 今なら金払えば許してやるぜ? あ?」
なんと! 金を払えば良いのか! それがそうならさっさと払って学校に行くべし!
……えっと、財布、財布。
「お、本当に払っちゃうの?
ありがてぇー」
いや金払えば済むなら俺はそうするよ。
うし、あった。 ひひひ。 面倒ごとにならなくてよかったぁ……、靴は削れちゃったが。
「はい」
「素直なことは良いことだぜ?…………あ?」
金は確かに払った。 じゃーね。
俺は素早くスクールバッグを背負うとその場を離れようと腰をあげる。
く、急がないと。 初日から遅刻なんて嫌だ! そんなことでクラスメートの評判を落とすなんて、まっぴらごめんだ!
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