過ぎし出来事を悔やむ者

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「待てよおい!」  うぉぉぉぉっ!?  いきなり視界が傾き、俺は白い空を仰ぐこととなる。  あ、後ろから引っ張られたのか納得。 「あ? 十円ってなめてんの? あ? 金つったら一万からが普通だろうが、あ?」  つまりこいつらは十円ガムを買うときにも一万円を支払うわけだ。 おつり九千九百九十円ってことは……、そのお金一万円に満たないから使わないのか、銀行が捗るな。  膝に手をついて、ゆっくりと立ち上がる。  あーあ、靴だけじゃなくて制服がぁぁ。 「なめてんじゃねぇよ!!」  瞬間、怒号と共に目に映る拳。  白い煙が腕全体を包んでいるところ、ふむ、この人は異能者か!  だが甘い、見えたっ!! 「ぐっ!!」  なんてことはなく、容赦ないそのパンチは俺の咄嗟のガードごと殴り飛ばした。  拳を叩きつけられた、防御のための左手は痺れたように痛みが走る。 だがそのガードは左の頬にダメージがいくのを阻止することができた。 「くっ」  右足を後ろにひいて体勢が崩れないようにするが、衝撃は流せなかったらしい。  何だよ気が短い奴だな、もう! 「『ウィッチ』の類いか」 「あ? なにテメェ、人の魔術分類を理解できたからなに? あ?」 「だが侮ったな屑めが。 人の力量も知らずして魔術を使用したこと、家のこたつにくるまって後悔しやがれ!」  俺の不良の言葉を無視したその暴言に、奴は眉にしわをよせる。  さぁ、跪け。 「なっ、優! そのガキなんかする気だ、さっさとやっちまえ!」  俺の周りを取り巻く空気が一変したのを見て、二人目の不良が焦りのこもった声を出す。  そしてそれに反応して再び拳を引いた疑問系不良。  だがもう遅い! 「喚け底辺。 俺の体にその汚い垢をつけた事、最早血の一滴も残さねぇ」  ぐわん、と俺の左手の空間が歪んだ瞬間、神々しい雰囲気を纏って現れたのは一本の槍。  俺はそれを見もしないで不良に突き付けた。  
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