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「今日は、鴨南蛮が食べたい。それから、予定空けといて」
「何かあるのね?」
「正直に言うと
なにもない」
「はっ?・・・何なの!?意味が分からない。」
「・・・分からない?ハハッ、まあ、そうだな。
今日はお前の特別な日だ。」
「!誕生日・・・」
「自分の誕生日ぐらい覚えとけよ。」
「ハハッ、忘れてた。」
「変わり者めが。」
そんなこと、覚えていてくれたんだ!
・・・勘違いしちゃうよ・・・
一緒に暮らしていく約束として、互いの誕生日は祝うことになっている。
一ヶ月前、私達は、なぜかルームシェアすることに、なった。
私の父が巨額の借金をしていたのが分かり、母と弟は、出稼ぎに行った。弟はまだ小さいから母のそばがいいと一緒に行った。
家は、競売にだされた。安く住める場所は、ルームシェアの家で、相手が誰かなんて知らなかった。
「オイ、何ボーッとしてんだよ??」
「別に、何もない」
「お前の親父は今どこにいるんだろう?」
「アフリカにまだいると思う。」
「いつまで逃げて暮らしてるんだ?」
「しらない。関わりたくないもん」
そのとき、チャイムが鳴った。
「とにかく予定空けといて」
そう言えば、彼は教室に帰って行った。
私も教室に帰ろう。
クラスも、学年も同じで、席も隣同士。ついでに、住んでいる家まで一緒なんて、由衣にしてみれば、奇跡で、幸せとしか、言いようがない。
まあ、彼のことが好きなのだから、当たり前かもしれないが。
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