由衣サイド

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家に帰るときは、わざわざ、私が遠回りして帰るから一緒なんて有り得ない。 授業後、家にかえると、私は、蕎麦を茹でた。 鴨南蛮には鴨肉はいれない。 鴨肉は硬いから、合わない。それに、味がちがう。鶏のモモ肉をいれるのだ。 「でっきた~!我ながら上出来じゃん!」 「美味しくない、ね。」 この男は私の料理にうまいと言ったことがない。 「冷たい人ね」 「喧しいなあ?。」 「貧乏人の味がお坊ちゃんの口には合いませんよ~。てか、そんなこと言うなら、私が全部食べるもん。」 私が彼の分を奪おうとしたとき、彼は、 「女の子が そんなに食べたら、太っちゃうからね?」 だって。・・・意地悪だよ。 そのあと、彼は、マズイことを忘れたかのように、お代わりをする。 「ご馳走様!」 私は、食器をキッチンに持って行き、 「お風呂、先に行くからね?」 「ん。」 洋画を見ていたカレ。曖昧な返事をする。 私は、着替えを持ち、風呂場へむかった。 風呂場から出ると、彼がいない。 「大野君?」 何回か呼んだのに、返事がない。予定を空けといてと言うなら、何処にも行かないでほしかった。 一時間ぐらいまったけど、誕生日ぐらいは友達と一緒にいたい。 わたしは、家を出た。 「五月~!」 「なんだなんだ?~」 五月の家に行った。 彼女は唯一、同棲を知っている親友の妹。 「お兄ちゃんなら、イナイケドね?とにかく入りなよ。」 抱き着いた私を宥めすかしながら、温かいココアを入れてくれた。 「どうしたのさ?」 「信平に会いたいのに、ね。・・・五月は私の話を聞いてる?」 「同棲でしょう?」 「うん。今日は誕生日ナノに予定まで空けさせて、人がお風呂に入ってる間にどっか行くんだよ!? ・・・最低だよね・・・」 「でも、彼が好きでそれを言えないから、困ってるんでしょ?」 「うん・・・」
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