インファーナル

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人間は死ぬと死神たちにより 死後の世界へと連れて行かれる。 その世界は2つ存在する。 1つは光の世界    《プロミセイド》  プロミセイドには生前 無難に過ごしてきた者、罪を償った者たちが送られて来る。 もう一つは闇の世界    《インファーナル》 此処には生前 罪を償わなかった者、大罪を犯し、悪を悪とも思わない狂人たちが毎日のように送られて来る。 2つとも暮らしている者が違い、 プロミセイドには光人 インファーナルには闇人が暮らしている。 生前の記憶はインファーナルに連れてこられた時に消えてしまったが、わたしも大罪を犯したのだろう。 もう何百年もここにいる。 〔暇だ…。〕 「た、助けてくれっ‥」 横に立っていた男が泣き出しそうな声で言った。 男は太い鎖で縛られている。 その鎖を一人の少女が握っていた。 少女たちがいる崖の下には、血のマグマが煮えたぎっている。 「な、助けてくれよぉ。 あんたの言うこと何でも聞くからよぉ」 男はまたも弱々しい声で命乞いをした。 少女はちらっと男を値踏みするように見ると、はぁ と呆れた風に溜め息をつき、男を縛っていた鎖を外した。 「あ、ありがっ…」 男が礼を言おうと少女に近づいた途端、足をはらわれ、血のマグマへと真っ逆様に落ちて行った。 「ぎぃやあああっっーー…!!」 辺りに男の断末魔が響きわたった。 「もう少し、根性のある奴だったら助けてあげようと 思ったのに…。」 少女はつまらなそうに呟く。 すると不意に背後から声をかけられた。 「相変わらず酷いことするねぇ ロザリー。」 ロザリーは声の主へと振り返る。
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