0人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が停学になってもなにも言わずに普段通りに接してくれる姉を、悲しませたりしないためにはどうしたらいいだろう、と。
つまりは喧嘩などしないで済む方法を探すしかないわけだ。
散々考えても答えは出ていない。
これについては、他者に協力を、とは思うが友だちがいないのにどうしろと言うのか。
交遊関係皆無の自分を、今日ほど恨んだことはない。
どうにかならんものか。
脳内シナプスフルスロットル(自分でも何言ってるかよくわからない)で、相談出来る可能性を持つ相手を探す。
すると三名だけ候補が浮かんだ。
第一候補、姉。
しかしすぐさま却下。姉上は学生時代、喧嘩上等な方だったので便りにならない。まあ、今は一見鳴りを潜めてはいるが、怒った瞬間修羅と化すのは変わらない。
続いて第二候補、担任。
学校での唯一の理解者。彼女にも頭が上がらなかったりする。
相談するには持ってこいな相手。
しかし担任は、姉と仲が良いのですぐさま伝わる可能性がある。
別に伝わっていけないことはないだろうが、恐らく姉は、俺に対して誰も手出しさせないよう自分の名前を出すだろう。
数々の伝説を持つ、その名を。
あまりそういうことはしたくないので、担任は却下、とまではいかないまでも保留だ。
最後の第三候補。
帰ってこないし、あてにもならない親父に代わって出たのが、学級委員長。
自分でもなぜ出てきたのか謎だが。
まあ、先ほどの夢に出てきた相手がそれなわけだが。
それにしたって話したこともない相手に相談とはこれ如何に。
結局、どれもあてに出来ないので自分で解決するしかない。
「はずだったんだけどなぁ」
「何か言った?」
「いんや」
放課後、夢で見たような構図が出来上がっていた。
つまり、委員長と俺が並んで歩いているわけだ。俺の家に向かって。
謎である。
帰り際に声をかけられ、悩みがあるなら相談に乗るとまで言われた。
そこで何もないと返せば良かったのに、とすでに何度も後悔している。茹だるようなくそ暑い炎天下の中、汗をだらだらと流しながらひたすらに。
せめて風よ吹け。
「暑いね」
「……だな」
よくわからん。なんだこの会話は。
「また学校に来てくれて良かった」
いきなり話題が変わった。いや、まだまともに会話もしてないが。
最初のコメントを投稿しよう!