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「普通、魔力変換器欠乏症って自分から言わないもんだろ? おまえすげーよ」
いや、開き直っただけなんだが……と言おうとしたら、急に場が静まるのを感じた。自己紹介ってこんな真面目になるもんだっけ? と思いながらも前を向くと……
「はじめまして。ラース・エル・マクドラセルです。名前の通り王族ですが、先ほどの御嵩君の自己紹介に感動しました。
僕も身分やその人の特徴だけで人を区別するのは苦手です。御嵩君同様、身分なんて関係なしに普通に仲良くしてくれたら幸いです」
金髪碧眼の、気品を感じる外見を持つそいつはまさに王子そのものだった。背は俺と同じくらいだが、イケメンだ。
棚からぼた餅とはこのことか……かの有名な王子様からの助け舟が入った。嬉しい誤算にも程がある。
正直泣きたくなった(嬉しすぎて)。
と、まあこうして入学初日は終了。ゲーム好きは特に隠す必要もなく、レイや他の友達に俺のオススメをやらせたこともあるし、多少自重しつつもゲームはプレイし続けている。
――そして三日前。
遂に人工異世界が完成したのだ。
制作にかかった時間はおよそ六年半。長いとは言いにくいが、そこに携わる五人の人物が注目を集めた。
その五人は、全員が“賢者”の称号を持っているのだ。賢者とは魔法の腕が優秀なだけでなく、魔法を自由自在に創れる者が成れるものだ。
世界で五人しかいない……つまり世界中の賢者が集結。そしてその目的が、人工的に異世界を創りだす……というものなのだ。
これには注目するのも無理はない。約六年前から定期的にメディアを通して成果を報告されてきたが、遂に完成した。
ここまではまだなんとも思わない。だが、俺は五人の賢者たちが嬉しそうにインタビューに答えた、その内のほんの一部分のセリフを聞き逃さなかった。
『この人工異世界は、旧文明にあったゲームというものを参考に創りました』
この瞬間から、俺はこの人口異世界へ興味を持ち始めた。
もう一つの世界ができたところで、しばらくすれば飽きるだろうと思っていたが、今は違う。
『魔力変換器欠乏症の方もご安心ください。人工異世界にはスキルというものが存在します』
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