藁屋敷

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あっしがまだ小学生やったときの話。 うちの町(仮にK町)には有名な一戸建てがあった。 通称藁屋敷って呼ばれてる薄ら古~い家。 まずはこの家の話から。 この家に住んどったんは若い夫婦。 しかも周りから見りゃおしどり夫婦そのものみたいな。 あっしらもようその家遊びに行かしてもろとった。 でも、ある日を境に夫の方が外に出えへんようなったんや。 周りもみんな心配して奥さんにあれこれ聞いた。 奥さんは「大丈夫」とか「主人は元気です」とか言うとったんやけど、誰が見ても大丈夫やなかったらしい。 まず、奥さんの顔に生気がない。 顔が青白いって言えばええんかな? とにかく、そんな感じ。 「そないゆうなら」って周りもそん時は退いたんやけど気にはなってた。 暫くして、今度は奥さんも外出せえへんようなって、いよいよおかしいってことで近所のオバチャンが何回も家のドアをノックした。 ところが中から音も全くせえへん。 普通なら出てくるはずやのにその気配すらない。 心配になったオバチャンは警察に電話して家ん中調べてもろた。 でも、家ん中にあったんは無数の藁、藁、藁。 人の気配なんか一切あらへんかったそうや。んで、こっからがあっし達の話。 警察が来てから数ヶ月、藁屋敷には人が近づかへんようなった。 まあそら人が消えた家なんか行きとうないやろな。 でも、子供ってもんは天邪鬼や。 人がやったらイカン、行ったらアカンゆう事はやってみたなる。 あっしらも例外や無かったし、奥さんやおじさんのこともあって、「肝試し」って事で学校の終わった後、A、B、C(Cは女)あっしはすぐに藁屋敷へ向かった。 家の玄関叩いてみても、もちろん音なんかせえへん。 さあ入ろうってなった時、Cが帰ろうって言い出した。 このとき帰ってたら、あんな目に遭わんでも済んだんやろうけど・・・。 AもBもここまで来たらもうやめへん言うて中入ってもうたんや。 あっしは叔父さんからもろたお守り握り締めてAの後に続いた。 入った順番はA→あっし→B→C。 とにかく暫くして、Cの叫び声が聞こえた。 あっしは居間担当だったからすぐにCの所へ向かった。
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