親子

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あれは7月の下旬、汗も枯れるような猛暑日の昼でした。 夏休みに入って暫く経っており、友人を家へ呼んで遊んでいました。 やがて夕方になり友人の一人が帰ろうとしたとき、もう一人の友人が「もう少し居てもいいか?」と尋ねてきました。 秒までとはいきませんがそのときの時刻は今でも覚えています。6時23分。 ウチの門限は7時なので別に構わない、と返しました。 帰る友人を玄関まで送り部屋に戻ってきたとき、部屋が異様な空気に包まれていることに気が付きました。 重いような、首を絞められているように苦しくなってくるような空気。 あっしは昔から霊感が強く、しかも霊媒体質の所為で部屋にはよく幽霊が溜まり常にと言っても過言ではないほど空気が重いんです。 でも、そのときの空気はいつものソレとは比べ物にならない程息苦しいものでした。 ふと友人を見やると、怯えた様に体育座りをし、顔を強張らせていました。 何か知っている、そう踏んだあっしは友人の両肩を掴みました。 すると、友人はあっしを見てきました。 あっしが何かあったのかと尋ねても黙ってあっしの顔を見つめるだけ。 まるであっしの後ろに何かが居るように一点をじっと見つめていました。 自分でも何か居るのか?と疑問を持った瞬間、鋭い視線を感じました。 驚いて振り返ってみるとそこには長身の、顔には全く生気の無い中年の男性が目の前に立っていました。 男性は暫くこちらを見つめた後、小さく「チッ」と舌打ちをして消えました。 男性が消えた途端、重くなっていた空気が軽くなり、友人の肩からも力が抜けました。 友人に向き直ってアレが何なのかを訊いてみましたが友人は知らないの一点張り。 ならば何故アレはお前の目の前に来たのか。ソレも尋ねましたが「知らない」。 こんな問答を続けても無駄だと思い、友人を家へと送り返しました。 そして無事に友人を家まで送り、部屋でアレが何だったのか考えていると、下から男女2人の怒鳴り声と子供の泣き声が聞こえてきました。 あっしはそん時また誰かの夫婦喧嘩かと思いました。
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