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けど妙なんです…
下の階には一人暮らしの浪人生しかいないはずなのに。
暫く怒鳴り声を聞いてるとどうやら部屋の「中」から聞こえてるようなんです。
子供の泣き声も一緒に。
これ以上面倒事に巻き込まれるのが嫌で立ち上がろうとしたら、金縛りにあったようで動けなくなりました。
でも何故か首だけは動かせたので辺りを見回してみると、あっしから2.30cm位の所に小4ぐらいの赤いワンピースを着た女の子が座って泣いていました。
いくら何でも人の部屋に迷子なんてどんな方向オンチでもあり得ないし「また浮遊霊かな?」と思い「ならどうでもいいや」見たいな感覚で金縛りが解けるまで待っていました。
すると、か細い小さな声で少女が「殺してやる…」って何度も呟いてきました。
ふと見てみると、その少女はこっちの顔を穴が開かんばかりに目を見開いて覗き込んでいました。
首には刃物が突き刺さった後のような傷が無数にあったのを覚えています。
ワンピースが赤く染まってたのはそこから出ている血のせいのようでした。
「あんたにはあたしが見えるの…?」女の子が口を開くと血がボタボタと流れ出て床に落ちていく。
流石に血が床中に掛かるのは好きじゃないですし「見える」とだけ言いました。
すると「見えてるならあたしのお母さんを捜して、あたしのお父さんを捜して」と少女は血を口や喉から流しながら頼んできました。
何故かと聞いてみると「殺すから」と冷たく感情なく答えました。
一分程沈黙が続き、未だ解けない金縛りを解こうとしていると、女の子は部屋の床をダンダンと音が出る程叩きながら
「あの男は殺サなクチゃイケなイ、見テイたダけのあノ女モ一緒に…あタしは何もしテなイのニ、アの男ハあたシを殺シた! 仕事デうマク行かナいのハアたしの所為ダト言ッて包丁ヲ何度も刺しタ!」
さっきのようなか細い声じゃなくて太い、女の子からは出ないような声をを発しました。
流石にあっしもこれ以上質の悪い悪霊に関わりたくなくて般若心経(爺ちゃんが仏門で子供の頃から覚えてる)を唱えました。
すると少女は「捜シテ…捜シテ…」と呟きながら消えました。
消えた瞬間、金縛りも解け安心して座り込んでそのまま寝てしまいました。
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