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園田がこんなんだって言うのは最初から分かってるし、そんな園田がいいのは自分だから。 口ではああ言ったものの、誰が来たって平気。 なんて、変な自信がついたもんだ。 自分で選んだんだもん。 園田の隣で怒って泣いて、笑って。 いつまでたっても、二人でそんな感じで一緒に居たいから。 「やっぱ、園田佳乃の方がいいや」 「は?」 急に園田が発言する。 「やっぱってなに?まだ上杉蓮って名前になりたいとか思ってたわけ?」 「当たり前だろ。 でもさぁ、上杉蓮も捨てがたいけど、佳乃が園田になる方が俺嬉しいかも」 「嬉しいかもって何よ」 「だって、俺と同じ苗字だぞ」 「それなら上杉だって同じじゃない」 「ちょっと違うんだよな。 俺が今まで園田で佳乃が上杉で。 それが二人とも園田で。ああ、俺と一緒になったんだって実感湧くだろ」 「実感湧くだろって言われても、まだ園田じゃないし」 「だからさ。 結婚しようぜ、佳乃」 だからって何よ。 何何かのついでみたいな言い方してんのよ! そう言うのってこんな道端で言うようなセリフ? もっとこううっとりするシチュエーションで言うもんじゃないの? 「バカ蓮」 涙で声がちゃんと出てたか分からない。
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