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人形の周りから、人形が消えた。
人形は、きょろきょろと周囲を見回し、誰もいないことに気付き、腕をだらりと下げたまま、床に崩おれた。
でも、僕は気付いていた。
そんな彼を陰から見ている、黒い瞳の男の子と、ヴァイシェらしい女の子と男の子の姿に。
君は一人じゃないよ、と声をかけたくなった。
こんなに、見ている人がいるよ、と。
どうして、彼は気付けないのだろう。
さっきと同じ人形なのに、その顔は悲しげで、かなり切羽詰まっているように見えた。
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