一幕――光の王子

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. 人形の周りから、人形が消えた。 人形は、きょろきょろと周囲を見回し、誰もいないことに気付き、腕をだらりと下げたまま、床に崩おれた。 でも、僕は気付いていた。 そんな彼を陰から見ている、黒い瞳の男の子と、ヴァイシェらしい女の子と男の子の姿に。 君は一人じゃないよ、と声をかけたくなった。 こんなに、見ている人がいるよ、と。 どうして、彼は気付けないのだろう。 さっきと同じ人形なのに、その顔は悲しげで、かなり切羽詰まっているように見えた。 .
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