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オルト――
今日で、十四になった。
成人まで、あと二年。
普通なら、喜ぶべきところのはずだが、オレは素直に喜べない。
オレは、一族にとって、邪魔者でしかないから。
せめて、優秀であれば、存在意義もおのずと生まれてくるかと思ったが、努力なんて無駄だった。
リューチェが生まれて、そう悟った。
生まれた時から、全てを持っていたリューチェ。
社会で生きていくためにも、人に愛されるためにも、必要なものを、必要以上に持っていた。
王の証さえも……。
自分が、陰で何と呼ばれているかも知っている。
この先、オレの利用価値は、一つしか無いということも。
すり寄って来る、香水の臭いを撒き散らす、金と宝石と楽な生活にしか興味の無い下衆のうち、どれかが、将来永遠を誓う者となる。
王家の味方となる血筋、得となる家柄を上の者が選別し、決定される。
そこに、オレの意思はない。
オレにも相手にも、愛情は疎か好意も無い。
何も無い、犠牲者同士の婚姻だ。
得るものがあるのは、大臣達と、本人は知らないだろうが、リューチェだけ。
リューチェがいなければ……父様が、あの女と再婚などしなければ……オレに、証があれば……。
考えるのは、いつもそれだけ。
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