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「そっか……。そんな大変なことがあったんだな」
漣は先程の心配顔がより一層険しくなった。
「うん……」
打ち明けてすっきりすると思ったけど、やはりそうはいかなかった。
しばらく無言の状態が続く。
もう三月だが、まだ肌寒く、冷たい風が僕の体を冷やす。
「よし! 決めた」
その沈黙を先に破ったのは漣だった。
彼は何かの決意を現らにしているようだ。
「俺もお前に協力するぜ!」
意外な彼の決意に僕は驚きを隠せなかった。
「本当に? 本当にいいの?」
漣の決意は、僕と一緒に探偵になり、組織の正体を暴くことである。
「当たり前じゃないか。親友が困ってるのに助けない奴なんているか?」
僕は漣とは今日この日に別れると思っていた。
でも、別れなくてもいい。
だから、余計に嬉しくて――。
「ありがとう……」
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