419人が本棚に入れています
本棚に追加
「あらあら。豪快な音を出して中に来るものですから、2人が泣いてしまったわよ」
「ああ、すまん。まさか双子だったとは、驚いた。・・・よく頑張ってくれた。ありがとう、フィナーレ」
優しく微笑み、妻にお礼の言葉を贈る。子供を産み疲れていたのだろう、フィナーレは両腕の赤ん坊を気にしながら横になる。
「ローベルト。こちらの子が兄で、こっちの子が妹よ。名前は考えてくれましたか?」
左腕には男の子、右腕には女の子。そう説明した後、夫に名前を訪ねた。
勿論だとも。そう返事を返し、筋肉の付いた腕を伸ばして女の子に触れる当主。
「女の子の名前はメイアハート。将来は、お前に似て綺麗な女になるだろうな」
次は男の子に触れ、肌の温かさを感じて口を動かす。
「男の子の名前は、ゼロスだ。俺に似て勇ましく育ってくれると嬉しい」
これが、この物語の主人公ゼロスの誕生。
この日が、止まっていた世界の歯車を動かす始まりだったのやも知れない。
最初のコメントを投稿しよう!