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「……今やめたほうがいいよ」
今武人がからかったらそれこそ大変な事になるのが想像できる。
「もしかして発狂中?」
恐る恐る武人が僕に尋ねた。
「うん」
僕はコクリと頷く。
「うん。
それならやめとこう。
あぁなったら誰も止めれないからな」
頭をかきながら武人は言う、
「そうなの?」
僕は武人の顔を覗き込む。
「幼なじみの俺が言うんだ。
間違いない」
胸をはって武人は言う。
その顔は自信に満ちあふれている。
……ようにみえる。
「成る程」
妙に説得力があるんだなぁ、武人は。
「よし、まつり。
サ店いこうぜ」
武人はニッと笑う。
「『サ店』って?」
聞き慣れない言葉に僕は首を傾げる。
「またまたとぼけて~。
野郎と行くのは気が進まないか?」
武人はグリグリと肘で僕を突いた。
「違うよ~」
僕の中にデータとして入っていない。
入っていないから理解できないんだ。
「んじゃ、いこう!」
***
暫くするとちょっと小洒落たお店が見えてきた。
武人は躊躇する事なくお店の中に入る。
カランカラン……
お店のドアについている『カウベル』という物がまるで僕らを歓迎するようになる。
僕も武人の後に続いて中に入る。
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