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「捕まえた!」
と、赤目玉からの映像が突然真っ暗になり、同時に興奮した男の子の声がキンとウェルの耳に響いた。あっという間の出来事で、ウェルは何が起こったのかわからずに赤目玉をとりあえず四方八方に動かしてみる。しかし何かにひっかかるのか、その場から全然動けなくなってしまっていた。
「ミユティ、来て! 赤いヘンな虫捕まえたよ!」
ウェルの耳に飛び込んできたのは、元気な男の子の声だった。短い歩幅で立ち去る足音、それからしばらくして、今度は小さな二つ足音がゆっくりと近づいてきた。
「すごいヘンな虫なんだから。あ、でもミユティは、怖くて泣いちゃうかもなぁ」
「ミユ、虫、怖くない」
「むう……じゃ、今から見せるから。ぜーったい泣くなよ?」
「……テオ、虫は、噛(か)むかも」
「えっ……か、噛むかなぁ……」
男の子と女の子の可愛らしい会話を聞きながら、ウェルはだんだんと状況が飲み込めてきた。要(よう)は、赤目玉が子どもたちに捕まってしまったということらしい。普段なら滅多(めった)に捕まることはないのだが、イリスを探すのについ夢中になって、周囲の警戒を忘れてしまったのである。
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