集った粒子

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――同時刻 少女は悶えていた。何かに怯えるようにして。 照明も点いていないただの暗がりで、焦点のまるで合わない瞳を見開いたまま小刻みに震えている。 白いベッドの上でうずくまるようにして脳内をフラッシュバックする見たこともない不気味な光景に抗いながら、もう何日目だろう。 この幻覚のような景色が呼び寄せる吐き気は尋常ではない威力を発揮する。 桃峰姫女佳はここ最近、学校を休みつづけている。そしていつの間にか、部屋から出ることすら忘れていた。 「嘘……そんな」 麗しい筈の銀の長髪もダメージで大分傷んでいた。 ――どうしてなの? コワイ ――どうして……お母さんの顔が思い出せないの? ジブンガ 母の顔が全く出て来ない。容姿ははっきりしているのに、顔だけ靄がかかったように隠されてしまっている。それだけではない。実際の母を見ても同じ事が起こってしまう。まるでそこには何も存在しないかのように。 ――どうして ジブンガ コワイ 「できないよ……」 まるで記憶にない景色がさも経験してきた事実のように流れ込む。彼女の大切な友達や、その温もりを蝕みながら。
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