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「おう、クソ餓鬼。好き放題しやがってくれたな。
どうだこれから死ぬ気持ちは」
そこまで声を出してないのにも関わらず、腹の底に響くような、遠雷のような声。
この男に馬鹿にされて死ぬのは御免だ、そう思った俺は睨み付けながら言った。
「最高だ。
今から父上に会えるんだからな」
そう言った瞬間あの男はクックッと少し声を漏らして笑った。
「大した玉だな、俺の子を殺しといてよくもまあ言えたもんだ」
そう言うと堪え切れなくなったのか、大口を開けて笑い始めた。
一頻り笑い、急に黙ると野生の猛獣のような目でこちらを睨みながら言った、
覚悟は出来たか、と。
俺は沈黙を返事とし、目を瞑った。
あの男の着た鎧の音が、傍らに立つ処刑人に指示を出したことを伝える。
今は亡き父上や母上、従兄弟、生死すら定かでない妹に心の中で謝ると、風を斬る刃が俺の命を絶つべく降り下ろされた。
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