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ピンポーン、
玄関のインターホンが鳴り、
ドアを開ける。
キャップを深く被って顔が良く見えない。だか、きっと泣いているだろう。
上がり、と言うと返事をせずにそそくさと部屋に上がる。
「大丈夫か?」
キャップを取りながらこちらを向いた。
目は涙で潤って、頬が濡れている。
俺の方を向いたまま顔を俯かせて頷いた。
「ふじわら、」
何か言おうとしたが堪らず抱き締めた。
井本も必死で抱き締め返す。
「うぅ、ごほっごほっ、」
「大丈夫、落ち着き。」
何度も咳き込む井本の背中を優しく擦る。
「ごめんな。ほんま、ごめんな。」
「う、ふじわら、寂しかった。」
「おん、俺も寂しかったで。
ごめんな。」
その場に座ると井本が口を開いた。
「藤原、好きやで。」
ちゅ、
頬に手を添え、口付けを交わした。
少ししょっぱかった。
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