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ぼふっ
疲れた重い体をベッドに倒す。枕に預けた頭が予想以上に沈んでうわ、と間抜けた声が漏れる。
「はあ…、しんどい。」
もうおっさんやな、と自覚しながらゆっくりと目を瞑る。少し目が乾いていて瞼の裏がひりひりした。
すると、脳裏に蘇る優しく微笑む藤原の顔。くっきりした二重でこちらを見ながら笑う。
(逢いたいねん、)
電話をしようと携帯をデニムのポケットから出そうとしたが、疲れた顔をした藤原の顔がぱっ、と浮かんだ。
少し力が入った腕をシーツの上に置く。
手全体が熱くて、その熱が顔にまで伝わる。
頬が次第に赤くなるのに気付く。
瞼も熱くなり思わず手で顔を覆う。
そして、生暖かい液体が耳の方へと流れた。
「、う…」
喉の奥で何かが詰まった。
堪えていた感情が一粒の雫として流れ出す。必死で堪えようとするたびに嗚咽が激しくなる。
「ふじわら…」
名前を呼んでも来ない。
いくら泣いても届かない。
声を殺してただただずっと涙が収まるのを待った。
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