99人が本棚に入れています
本棚に追加
ピリリ、
ピリリ、
携帯の着信音が部屋に鳴り響く。ぼおっとしながらも電話に出る。
「もしもし。」
「井本?」
何でこんな時間に電話してくんねん。
そんな優しい声出すなや。
泣きたくなるやんけ。
「寝てたやろ?ごめんな。」
「ええよ、目覚めてたし。」
もう切ってええって。そう思いながら受話器から耳を離そうとすると、
「会いに行ってええ?」
藤原の優しい声が心臓にまで響いた。
いきなりの事で頭の整理がつかずもう一度え、と聞き返した。
「やから、会いに行ってええ?」
何で今頃会いにくんねん。会うならもっと早く会いに来いやぼけ。
さみしかってんぞ。
「うん。早よ来て。」
「分かった。」
優しく返事をするとぷちっと電話が切れ、音が消えた。
やっぱり分かんねんなお前には。
敵わへんわ。
最初のコメントを投稿しよう!