【第二話】

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ケタケタと笑いながら、少年は道を指差して見せる。 男性――死体を無理矢理どかして作り出した歩道。血で真っ赤に染まった、バージンロードのようなその道を。 「…………」 「どうした、さっさと通れよ。それとも血で靴は汚したくないってか? 結構潔癖なんだな、おにーちゃん。悪いがオレは今ハンカチの持ち合わせはないんだ」 そういうわけではない。 勿論、俺としても、こんな異常な場面からはさっさとオサラバしたいところだ。 DDにパシられた約束の代金を届けて、家に帰って風呂に入って、冷凍しておいたカレーを食べて、愛用の布団にくるまれて寝る。明日のバイトは休みだから、ゆっくり惰眠を貪るのも良いかもしれない。 ――なんて。 そんな夢のような妄想を一通り巡らせたところで、 「――笑わせんなよ」 少年の真っ直ぐに見据えながら、そう言ってやった。 「その目――俺のよく知る悪魔と同じだ」 濁り切った目。 人を嘲笑い。 人を騙し。 人を弄ぶ。 それらを当たり前のモノとして捉える――嘘吐きの目。 抉り取るのも悍ましい気持ち悪ぃ、外道の目だ。 「このまま俺を帰らせるつもりなんて無いんだろ? 殺人犯が、目撃者を黙って逃すはずがない。油断したとこをも見計らって殺してやろうって魂胆が見え見えだ」
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