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「……なぁ、小太郎君」
「んだよ」
「俺は今から、とんでもなく愚かしいことを聞くと思うが、どうか許してくれ」
思い起こされる先ほどの光景――それは、小太郎君の裸体。
一糸纏わぬ、美しくスレンダーな四肢。
彼のソレには、一つだけ大きな問題があったのである。
品位のない低俗な表現で表すのであれば……そう。
"ある筈のモノがなくて、ない筈のモノがあった"
そんな感じ。
所謂、
「君、女の子だったのか!」
「そうだけど、何?」
脱衣所の扉の向こうからは、気の抜けるようなあっさりとした返答が。
今更ながら、自分の愚かしさを呪う。
そうだ。
そうだよな。
小太郎君、一言も、自分の性別を断言してなかったもんな。男だなんて言ってなかったもんな。女の子でも不思議じゃないよな。小太郎っていうのが、女の子の名前でも、おかしくはないよな。俺が勝手に勘違いしてただけってか。笑えるね。笑えるぜ、マジで。
さて。
「……どうしよう……」
とりあえず土下座で足りるのだろうか。
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