【第二話】

46/97

3444人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
「言えよ!だったらスウェットくらい貸したっつーの!着るものが無いから裸って発想おかしいだろうが!」 暖房をつけてるとはいえ、冬だぞ!いや、そういう問題じゃないけれども! 「あー、なんかこれ以上尽くしてもらうと、おにーちゃんに悪い気がしてなー」 「変な所で律儀だなぁ!――あぁ、もう!ちょっと待ってろ!」 慌ててクローゼットに直行。 厚手のスウェットを取り出し、それを小太郎君へと放り投げる。 「と、とりあえずそれを着てくれ!俺はあっち向いてるから!」 このままじゃ、話も謝罪も糞もあったもんじゃない。 良薬口苦し。 目の保養も、過ぎてしまえば目に毒だ。 「ったく、裸くらいでうるせェな。……何? おにーちゃん、まさか童貞なのか? 馬鹿みてェに初心なのか?」 「うるせぇノーコメントだ!」 「かはは。答を言ってるようなもんじゃねェか、ソレ。でもまぁ、気にすんな。オレも処女だからよ」 「童貞と処女を一緒にするな!」 「一緒じゃねェの?」 「一緒だけど、色々と違うんだよ!」 「意味分かんね。……あ、ところでおにーちゃん」 「今度は何だ!」 「下着はどーすりゃいいの?」 「頼むから黙って着替えてくれ!」 そんな必死のやり取りがあったものの、背後から布が擦れる音が聞こえてきたので一安心。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3444人が本棚に入れています
本棚に追加