3444人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
「ホラよ。これでいいのか?」
数秒後。その声に反応して、恐る恐る振り返ってみると……あぁ、良かった。
ちゃんとスウェットを着てくれた小太郎君の姿がそこにあった。
とはいえ、小柄な体格の彼(あ、いや、彼女か)だ。俺のスウェットはサイズが合わなかったらしく、予想以上にぶかぶか。
これはこれで危ない匂いがしたが、背に腹は代えられない。
何にせよ、
「これで、ようやくまともに話せるな……」
「オレのせいみたいに言うなよ。おにーちゃんが、ガキみたいに恥ずかしがってたのが原因だろうが」
「うるせーよ、恥じらいを持たない奴が何もかも悪いんだ」
不本意ながら脳内に焼き付いてしまった小太郎君の裸体及び四肢を、無理矢理抹消。
大きく深呼吸を繰り返すと、徐々に落ち着きが戻ってきた。
「じゃあ、とりあえず、そこに座ってくれ」
「何で?」
「いいから」
部屋の真ん中を陣取っている炬燵の傍に、小太郎君を半ば無理矢理座らせる。
対する俺は、彼に向き合うような形で座った。
「…………さて」
コホンと咳払いをすることで仕切り直し。改めて小太郎君のことを真正面から見据えてみることに。
最初のコメントを投稿しよう!