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「おいおいおにーちゃん。それを言うなら、オレだって殺人犯だぜ? 見つかってねェだけで、世の中、引っ繰り返せば犯罪だらけ。一々気にすることでもねェだろうに」
「それでも良心的な面がだな……」
「もしかしてアレか? オレのこと本気で襲うつもりなのか?」
「んなわけねーだろ!」
「じゃあ、無問題じゃねェか」
「ぐ、むぅ」
いや、確かにそれを言われたら、もう終わりなんだけどさ。反論する余地もないんだけどさ。
なんつーか、こう、貞操観念的な意味で……うん。
えぇい、何で俺がこんなに気を使わなくちゃならないんだよ、クソッタレ。
「つーか、冷静に考えてみると14歳って、小太郎君。学校とか、義務教育はどうなってんだよ」
「んなモン知らねェよ。オレは物心ついた時から、独り身だったからな」
「え」
衝撃の発言が、いきなり投下された。
「独り身って……両親は?」
「だから知らねェって。どうやって生まれたのか、親が誰なのか、親は生きてるのか死んでるのか。昔のことは、ほとんど覚えちゃいねェんだ。一番古い記憶で覚えてるのは、どっかの都市の汚ねェゴミ捨て場で目を覚ましたってことだけだわ」
「まさか、捨て子なのか?」
「かもな。そんな出生だからよォ、鴉麻小太郎ってのも、実はテメェで勝手に名乗ってるだけなんだぜ? 本名なんて知らねェからな」
「…………」
「ま、どんな汚らしいガキでも手段さえ選ばなけりゃ生きていけるって話だ。実際、オレはそうやって生きてきた」
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