【第二話】

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「ひひっ。まァ、ヒトそれぞれ人生は違うって奴だ」 なおもヘラヘラとした嘲笑を浮かべながら、小太郎君は『それに、』と言葉を続ける。 「今の会話から見ると、まるでオレが嫌々【壊し屋】と営んでるように見えちまうけどよォ。実際、俺は自分の意思で喜んでこの仕事をやってんだぜ?」 「……何?」 「だって考えてもみろ。世の中のリーマン諸君が必至に毎日何時間も働いて、年に稼げる金はやっと数百万だ。それに引き替え、オレは一仕事だけでそれくらい稼げる。ただブッ壊すだけで、貯金通帳のケタが面白いくらいに増える」 「…………」 「金は入るから、お菓子も毎日食べ放題。好きなこともやりたい放題だ。人生、最高に楽しいぜ」 きっとそれは、紛れもなく彼女の本心からの言葉だったのだろう。 屈託のない笑顔を見せられると、俺は何も言い返すことは出来なかった。 やはり小太郎君は、絶望的に外れている。 根本的に分かり合える気がしない。 何処で彼女はこうなってしまったのだろう。何が、彼女をこんなにも外れた存在に変えてしまったのだろうか。
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